人口が約1億人の日本では、表皮水疱症(EB)患者は約500〜1000人いると予想されています。
表皮水疱症(以下EB)は、日常生活でのちょっとした刺激や摩擦により、水疱(水ぶくれ)やびらん(ただれ)や傷ができる、非常に脆弱な皮膚が特徴的な病気です。根本的な治療はなく、EB患者は繰り返される傷による、絶え間ない耐え難い肉体的な痛みを抱えて生活しています。
DebRA Japan – 友の会
表皮水疱症友の会は、2007年05月、国内で初めて単独の患者会として札幌市で発足しました。
およそ数千人とされる稀少難治性疾患の表皮水疱症。病気の理解を広めることを第一に、全国の病友とご家族、さらに活動に協力・支援してくださる方々との出会いと連携を呼びかけています。
DebRAとは?
DebRA(デブラ)とは、表皮水疱症(英語名のEpidermolysis Bullosaの略名がEB)の世界的支援組織(ボランティア組織)であり、現在40カ国が参加しています。 DebRAの活動はイギリスで始まり、その名前の由来は、フィリス・ヒルトン (Phyllis Hilton) さんの重症型EBを持つ娘さんの名前がDEBRAであったこと、また英語で表皮水疱症研究協会 (Dystrophic Epidermolysis Bullosa Research Association: DebRA) の略からきています。
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欧米を中心とする多くのDebRAグループ (主にイギリス、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど) では、ガーゼ (シリコン製などの非密着型被膜・保護材) や包帯(特殊な包帯を含む) 、看護人も全額政府から支給されています。 そうした手厚いサポートが実現できている背景にはDebRAグループにより、どの国も長い年月にわたるロビー活動を通して、表皮水疱症の患者と家族にとって必要とされる医療用材の必要性を根気よく訴え続けることで国家援助を勝ち取ってきたという経緯があります。
同時に、DebRAグループでは、数少ない難病についての知識と関心を高める目的を掲げ、医学研究に協力するための寄付金活動も盛んに行っています。また、プロスポーツ大会の開催やオリジナル商品の販売などのさまざまなチャリティー収益によりDebRAの運営費、患者と家族のための必要なケアサポート、専門看護師・ソーシャルワーカーさんの養成、さらに、初めてのEBの赤ちゃんのために当面の治療用材キットの無料提供、あるいは準備金を進呈する国もあります。
ご挨拶
NPO法人表皮水疱症友の会DebRA Japan
代表理事 宮本恵子
表皮水疱症(EB/ひょうひすいほうしょう)は、国内の患者推定数は2,000人余、稀少疾患の条件である、根治治療がない、長期に高額医療費が必要など、日常生活に数多くの不安と痛みと障害と闘いながら生きています。
私自身、表皮水疱症の重症型である劣性栄養障害型を持って生きる患者です。ほんのわずかな刺激や摩擦、ちょっと物にぶつかるだけで、身に付ける物や食べる物が固かったりするだけで、簡単にびらん(ただれ)や水疱(水ぶくれ)を繰り返し、毎日特別な医療ケアと、社会的福祉的サポートが欠かせません。
その絶え間ない痛みに加え、合併症の不安、さらには見た目の偏見など、普通に生きたいと思う気持ちにも関わらず、心身の負担は大きいものがあります。
しかしながら、患者数が少ない故に、この病気を知る医療者も少なければ、学校でも社会でも同じ病気の人と出会うことはありません。表皮水疱症という診断はされても、それが生きていく上で、どんな影響を与え、どんな生活を送ればいいのか、知らない不安ほど人を悩ませ、孤独にさせることはありません。
表皮水疱症友の会は、そうした患者家族でしか伝えることのできない同じ悩みや体験を分かち合い、励ましあえる拠り所として2007年5月、たった2人でスタートし、医療従事者、保健福祉機関、医療機器メーカー、関心を寄せてくださる方々とともに、EBの情報共有の場として育ちました。
同時に、情報発信の拠点として、国際支援組織DEBRA Internationalとの交流を機に、国や厚生労働省へ医療費助成の提言や陳情と社会的啓発を進め、2010(平成22)年、「在宅難治性皮膚疾患指導処置管理料」制度が実現し、会員の意識も生活の質も大きく向上しました。
以降、その制度の認知徹底を図るため、全国交流会を中心に、医療者と患者とで学び合うセミナー・学習会の開催、生活支援ガイドブックやポスター製作、同時に、国内外の学会やセミナー、シンポジウム等参加により表皮水疱症の社会的認知は着実に広まりました。
一方、会の運営メンバーは、すべて患者家族です。どのような組織形態で、今後何を目指していくのか、まだまだ検討すべき課題も抱えたままですが、そうであっても、毎年、EBのお子さんが生まれて悩んでおられるご家族からの問い合わせが来ることを思うと、立ち止まっては入られません。
そこで、2012年12月、友の会をNPO法人化し、活動目標に表皮水疱症の社会的環境づくりを掲げ、私たちのような数少ない難治性皮膚疾患で悩む人が、いつ、どこで生まれても、適切に早期の医療を受け、前向きに自立へ向けて生きていける情報交流拠点事業に取り組む決意を新たにいたしました。
現在、国内でも治療研究は幾つかの治験が行われ、近い将来の希望も見えてきていますが、表皮水疱症の日々の闘いは今なお続いています。時間はかかっても、一歩一歩、目標を掲げていけば、必ず道は拓けると信じて、頑張ってまいります。これまで友の会が数多くの支援と励ましで生まれ育ったように、今後とも、なお一層のご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
(宮本恵子/2016年5月)
DebRA Japan発足の経緯
友の会は、当初、北海道大学病院に通院する劣性栄養障害型の2名の患者でスタートしました。札幌での誕生は、遺伝性皮膚疾患の専門医である北海道大学医学部附属病院皮膚科の清水宏教授のご助言とご協力をいただいたお陰です。まずは、仲間と出会う方法として、ホームページをつくることから始めましたが、とにかくこの病気の情報がほとんどありません。それでも、ホームページを見た全国各地の患者とご家族から、直接、電話の問い合わせやメールが寄せられるようになりました。
同年10月、清水先生から紹介されたのが、DebRAニュージーランドの大学生ハンフリー君でした。私たちにとっては奇跡的な出会いでした。彼は交換留学生として1年間、明治学院大学に入学するため来日の予定でしたので、入学直前に、ハンフリー一家を招待して、2008年03月29日、記念すべき第1回交流会が札幌で開催されました。全国から患者とご家族、ボランティアも含め、50名を超える参加者は、それまでほとんど知ることのなかった諸外国のEB患者の現状やEBのために必要なあらゆる医療ケア支援、さらにシリコンドレッシング材による湿潤治療など、日本との格差を思い知らされました。
この交流会の場で、北海道大学医学部皮膚科清水宏教授と、ハンフリー君のお母さんであり、DebRAニュージーランドの会長であるアンナさんの推奨により、DebRA Japanは産声をあげました。
アジアで初めてのDebRAの誕生は、日本とニュージーランドとの出会いによって始まり、表皮水疱症という困難な病気といかに向き合って楽しい人生を送るか、という共通テーマで活動の新たな広がりを目標にすることとなりました。DebRAのネットワークにより、その後、台湾患者会、韓国患者會との交流も実現して、世界レベルでのEB患者と家族の連携が、希望に満ちた活動を支えてくれます。アジア各国では、まだまだ難病を抱える家族の孤立化が目立ち、日本とも共通する悩みや問題が少なくありません。DebRAの協力をいただき、お互いの連携を深めてアジアEBのQOLを向上させためにも、近い将来に表皮水疱症アジア交流会を実現できるよう準備を進めています。
活動目的
● 友の会の活動は、患者と家族の親睦、情報収集と認知拡大を主な目的とします。
● 表皮水疱症患者と家族の相談窓口と連携
● 表皮水疱症に関する治療研究、および最新情報の提供
● 社会的認知と理解を広げるための交流会、勉強会、講演会、イベント活動
● 患者と家族に必要とされる治療ケア・治療用材のサポート、および生活支援
● 運営のための寄付金活動
リンク
● Debra International
● DebRA UK
● Dystrophic Epidermolysis Bullosa Research Association of America, Inc.
● DebRA New Zealand