ニュージーランド在住の表皮水疱症患者ハンフリーが、赤ちゃんが産まれたことをきっかけに8年ぶりに日本に来てくれました。ハンフリーはDebRA Japan発足の最大の功労者です。ハンフリーのお祝いに則して、関東近辺の患者会の人たちも横浜に集まってくれました。

『ハンフリーとの出会い』

2008年北海道大学の故 清水教授をきっかけに宮本代表とハンフリーは出会いました。
ハンフリーのいるニュージーランドにはすでに表皮水疱症友の会(DebRA NZ)があり、傷に当てる被覆材(傷などを覆うもの)や制度などすべてのことが日本よりも進んでいました。
ハンフリーはニュージーランドで使われているガーゼや友の会の仕組みなどを宮本代表に教えてくれ、それが後に今のDebRA Japanに繋がっていきます。

8年前にハンフリーが来日した時の写真(2015年)
2023年横浜

『傷にくっ付きにくいガーゼ「メピレックス」』

私たちが今主流で使っているメピレックスという皮膚被覆製品はハンフリーが教えてくれた被覆材(傷などを覆うもの)です。メピレックスは傷にくっ付きにくく、治りを早くしてくれます。
メピレックスと出会うまで私たちの治療はガーゼと包帯が主流でした。水疱は処置(ハサミや針で水疱に穴を空けて、中の体液を出す処置)をすると、患部にガーゼを当てて包帯で固定します。ガーゼは傷口にくっつくため、ガーゼ交換の度に傷口からガーゼを剥がす痛みがありましたし、皮膚が剥がれて余計に傷が広がることもありました。また、ガーゼを固定するために包帯を使うと、全身が包帯で覆われることになるため夏は暑くてたまりませんでした。
しかし、メピレックスは傷にくっつきにくいため剥がず時の痛みが8割以上軽減されましたし、軽い粘着性があるため包帯で固定しなくても剥がれにくいです。ハンフリーが使っていたメピレックスを宮本(友の会代表)が教えてもらったことにより、日本でもメピレックスを保険適用で使えるための署名運動が始まりました。

メピレックスが使えるようになったことにより、私たち表皮水疱症患者の生活はグッと改善されました。署名してくれた方や、認可をしてくれた国、署名活動をしてくれた宮本代表、そしてメピレックスのことを教えてくれたハンフリーには感謝してもしきれません。

国がナースを派遣してくれる、ニュージーランド

今回の来日ではハンフリーの他に母のアンナ、父のマーティン、をしてナースのベスが一緒でした。なんとベスは国から派遣されたナースで、同行に際しての彼女のお給料などは国が負担してくれます。(航空チケットとかはハンフリーたちの負担)また、彼の国ではドクターやナースは病気を診てくれるだけではなく、患者の生活環境や精神的なサポートまで一緒に考えてくれるパートナーであるそうです。
私たち表皮水疱症患者(特に栄養障害型)の人は、外出が困難です。車椅子での移動もそうですし、お風呂や旅行先での水疱や傷の処置、被覆材でのケアなど、荷物も時間もとてもかかります。(傷のケアは2〜3時間かかる)その全てを家族だけで担うのはとても難しく、急な体調不良なども考えるとなかなか旅行など行けないのが現実です。
国がナースを派遣してくれることで私たちのような難病の人間が、少しでも外に出られるようになることは、とても喜ばしいことです。傷や病気の治療だけでなく、生活環境や精神面のサポートまで日本でも考えてもらえるようになると患者のQOLが上がるだろうと思いました。

左から宮本、マーティン、アンナ、ベス
横浜での食事会の様子

編集後記

ハンフリーの話は聞いたことがありましたが、実際にお会いしたのは初めてでした。ハンフリーがメピレックスのことを教えてくれてなかったら、いまだに自分で皮膚を剥がし続ける痛みを感じていたかと思うとゾッとします。それくらい被覆材は私たちにとって大事なものだし、皮膚って重要な部分なのです。今回ハンフリーに直接お礼を言えてよかったです。それから、ハンフリーはYouTuberになっており、病気の人でも使えるコントローラーなどの意見を提供をしているそうです。(ハンフリーは指が癒着してしまい、手が棍棒のような棒状)いろんな活動をしていくハンフリーはかっこいいです!
また、8年ぶりに会う会員さんもおり、すくすく成長しているお子さんの姿に感動しました。生活をする中で、指の癒着や、足の水疱など痛いことはあるでしょうが、元気に可能性を広げていってくれると嬉しいです。
記事編集:しおり